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日本の対キューバ開発協力

歴史

我が国の対キューバ共和国経済協力は,1961年に始まった。当初は研修員受け入れなどの小規模な技術協力に限定されていたが,1990年代後半より協力が拡大し,技術協力の他,草の根・人間の安全保障無償資金協力,一般及び草の根文化無償協力などの協力も行なわれるようになった。また2015年には大規模な無償資金協力スキームが開始され,2016年9月,安倍首相がキューバを訪れた際に最初のプロジェクトに署名された。なお,有償資金協力は実施していない。

援助の意義(対キューバ共和国国別援助方針より適宜抜

カリブ地域で最大の国土と人口を持つキューバは,1959年のキューバ革命によって樹立した政権が現在まで続いている社会主義国家であり,ニッケル等の豊富な天然資源を有し,識字率も高いことから,今後経済成長を遂げる潜在性がある。また,中南米・カリブ地域の中でも医療水準が高く,教師や医療関係者の派遣協力等を通じて,中南米やアフリカの開発途上国を中心に大きな影響力を持つ。 一方,キューバは,現在も続く米国の経済制裁等により,深刻な物や資金の不足に直面しており,インフラの老朽化,廃棄物等による環境汚染,低い食料自給率(現在の食料自給率は20%から30%と言われている)等,多くの開発課題を抱えている。特に近年老朽化・不足がちな医療機器の整備,エネルギー源の多角化に向けた再生可能エネルギー分野の開発が喫緊の課題となっている。 このためキューバは,ニッケル等の一次産品に限られた輸出品を多様化するとともに,国内産業の効率化・多角化,外国投資の拡大を進めようとしている。また,近年は,保健医療分野,再生可能エネルギー分野等の新技術導入に力を注いでいる。さらに,国際食料価格の高騰を受け,食料増産・生産力向上を通じた自給率向上にも取り組んでいる。 キューバが直面する開発課題に効果的に取り組むことができるよう,引き続き経済協力を実施することは,同国の抱える問題の解決を後押しとなることに加え,同国への進出を考える日系企業への支援につながることからも意義がある。

国別援助方針(PDF) / 事業展開計画(PDF)


援助実績

我が国の対キューバ援助は,2015年までの累計(交換公文ベース)で無償資金協力が24.54億円,技術協力実績が64.47億円となっている。また2016年8月時点で,技術協力により日本に派遣されたキューバ人研修員は899人,キューバに派遣された日本人専門家は282人である。 草の根・人間の安全保障無償資金協力においては,1998年の開始から115案件(10.12億円)が実施されている。

外務省 キューバ共和国基礎データ 


重点分野 (対キューバ事業展開計画参照)

我が国の対キューバ共和国の援助の基本方針は「持続可能な開発への支援」であり,「農業開発」及び「持続可能な社会・経済開発」をその重点分野に掲げている。

(1)キューバの優先課題である食料自給率の向上のために,これまで我が国が支援の中心としてきた米の増産等,農業を通じた食料増産の支援とともに,食料安全保障の観点から多様な食料の生産力向上が必要であることから,農業に限らず牧畜・水産を含む農業開発への支援を行う。

(2)持続的な発展のために,これまで我が国が支援を行ってきた環境保全・気候変動分野に加え,現在キューバの優先課題であり,かつ気候変動対策にも資する再生可能エネルギー分野,官民連携型の協力も期待できる保健医療分野及び社会経済基盤の整備等に関する支援を行う。

対キューバ共和国援助形態

1.無償資金協力
無償資金協力は,相手国政府等からの要請に基づき,日本政府が相手国政府等に対して経済社会開発のために必要とされる生産物及び役務を購入するための資金を贈与し,相手国政府等がこれらの調達等を行うことにより実施される無償の資金供与による協力である。無償資金協力は,国際社会のニーズに迅速かつ機動的に対応するための有効な手段であり,国際社会の安定確保や我が国のリーダーシップ向上に資する大きな政策的効果がある。同資金協力のうち,詳細な調査を伴う施設の建設や機材の調達を行うもの(施設・機材等調達方式等)はJICAが実施のために必要な業務を行っている。また,機動的な実施を確保する必要があるものなど外交政策の遂行上の判断と密接に関連して実施する必要があるものは,外務省が実施のために必要な業務を行い,開発途上地域の政府等の調達代理機関(調達代理方式),国際機関等(国際機関連携方式)又は非営利団体(NGO等)が調達を行っている。

• 無償協力
キューバにおける大規模な無償資金協力は2015年に開始され,2016年安倍総理大臣キューバ訪問の際に,「全国主要病院における医療サービス向上のための医療機材整備計画」の交換公文が署名された。また2017年,薗浦外務副大臣(当時)キューバ訪問の際に「稲種子生産技術向上のための農業機材整備計画」及び「経済社会開発計画(ハバナ市廃棄物収集能力改善支援)」が署名された。

対キューバ無償資金協力一覧(PDF)

• 草の根・人間の安全保障無償資金協力 (APC)
草の根・人間の安全無償資金協力は, NGOや地方公共団体等の非営利団体に対し大使館が直接行なう援助スキームであり,基礎生活(Basic Human Needs)に資する分野,及び人間の安全保障の観点から特に重要な分野を優先的に支援することを基本方針としている。供与限度額は基本的に1,000万円以下で,案件実施期間は,贈与契約締結日から1年以内とされており,現地のニーズに迅速に対応できる「足の速い援助」といわれる。しかし,キューバにおいては様々な制限があり,多くの案件において一年以内に案件を終えることが事実上困難となっている。

過去の草の根案件一覧(PDF)

2017年度   2016年度   2015年度   2014年度   2013年度   2012年度   2011年度   2010年度   2009年度   2008年度
2007年度   2006年度   2005年度   2004年度以前

• 文化無償資金協力(一般文化無償,草の根文化無償)
文化無償には一般文化無償資金協力及び草の根文化無償資金協力の2つの形態がある。一般文化無償資金協力は,途上国の政府機関に対し,文化・高等教育振興に使用される資機材の購入や施設の整備を支援することを通じて,開発途上国の文化・教育の発展及び日本とこれら諸国との文化交流を促進し,友好関係及び相互理解を増進させることを目的としている。また,草の根文化無償資金協力は,同様の目的をNGOや地方公共団体などの非営利団体に対し行なうものであり,現在,Sport for Tomorrowプログラム実施の一環であるスポーツ分野の案件を積極的に実施している。また,その規模も一般文化無償資金協力と比べると小規模で,供与限度額は,原則1,000万円以下,案件の実施期間は,贈与契約締結日から1年以内とされている。キューバでは1999年にスキームが開始されてから,一般文化無償資金協力8件,草の根文化無償資金協力2件が実施されている。

対キューバ文化無償資金協力一覧(PDF)    文化無償資金協力

2.技術協力
技術協力は,開発途上地域の開発を主たる目的として日本の知識・技術・経験を活かし,同地域の経済社会開発の担い手となる人材の育成を行う協力である。同協力には多様な形態があり,キューバではJICAを通じて,開発途上国の技術者や行政官等に対する研修の実施,専門的な技術や知識を持つ日本人専門家のキューバ派遣,協力に必要となる機材の供与などを行なっている。これら3つを効果的に組み合わせた形で実施する「技術協力プロジェクト」は,2008年から開始されており,主に保健医療,農業開発及び水資源・防災の分野で実施されている。また,都市や農業,運輸など各種の開発計画の作成や資源の開発などを支援する開発計画調査型技術協力は2002年に開始され,現在は6件目となる「全国運輸マスタープラン策定プロジェクト」が実施予定。

JICA各国における取り組み(キューバ)    対キューバ技術協力一覧(PDF)

3.緊急支援
国際緊急援助には,(1)国際緊急援助隊の派遣,(2)緊急援助物資の供与,(3)緊急無償資金協力があり,災害規模や被災国等からの要請内容に基づいて,いずれか,又は複数を組み合わせて行われる。 ハリケーンの影響を受けやすいキューバで,我が国はこれまで7件の緊急支援を実施してきたが,その多くが緊急援助物資の供与となっている。また,「足の速い」草の根・人間の安全保障無償資金協力と組み合わせ,ハリケーン被害を受けた農業・漁業施設の復興や住宅の復旧も実施してきた。

対キューバ緊急支援一覧(PDF)
2017 ハリケーン・イルマ(PDF)
2016 ハリケーン・マシュー(PDF) 
2012 ハリケーン・サンディー
2008 ハリケーン・アイク



主なプロジェクト

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